体についた土をぬぐってから寝床に向かうという、きわめて文化的な習慣。それをキラ子が生来の感覚としてもっているかもしれないことは、私にとって新たな大発見でした。
もちろん、別の理由で編み目をくぐり抜けている可能性はあります。今夜も目を離さずに、その瞬間をキャッチしなくてはなりません。おのずとテンションが上がります。
今朝もキラ子はお狩り場の土に降り立ち、真剣に狩りをしています。まだ幼稚園児ほどの小ささなのに、偉い子だなと感心します。体が小さいから、カゴの編み目をくぐる動きができるのでしょう。昨年のぴょこたんは大人だったため、サイズ的に少々無理な気がします。
ハウスにしても、小物入れの留め具のループは、ぴょこたんならば少々窮屈かもしれません。幼児のキラ子だからこそ、ゆったりと休める空間となっています。
留め具を持ち上げないと、ループの中の空間は外から見えません。干渉しない範疇で、横から虫眼鏡でハウスを覗いてみると、縦方向に何本も糸が張られているのがわかりました。
――こ、これは……キャノピー?!
キャノピー=天蓋。
まるで貴族。
キラ子なりに、合理的な用途がある糸なのでしょう。万一、外から敵が侵入しても、攻撃を受けるタイミングを少しでもずらせます。
安全で心休まる天蓋つきベッドのハウスと、広々としたお狩り場との往復。貴族の令嬢のようなキラ子の生活は、図らずもキラ子と私の共同創造で具現化した、ということになりそうです。