新しい自分の作り方

BHSバーバラブレナンヒーリングサイエンス認定プラクティショナー/シカ・マッケンジーのブログ

閉店後の街

その人が創り出した職業は、非日常的なワンダーランドやお祭りのような空間を創る類のものでしたから、おおっぴらに人の口にのぼることはあまりありませんでした。特に隠しているわけではないけれど、積極的に語られることがないそれは、秘密結社のような性質を帯びました。

 

「これは私のライフワーク。死ぬまで続けようと思っているの」と、その人はよく言いました。その決意は人々にとってありがたいものなのか、何なのかがよくわからなかったのですが、その人は至極真面目な顔をしていたために、周囲の人々は無表情のまま笑いました。

 

病が進行する中で、やむをえず廃業というのは、「死ぬまで続ける」という言葉が現実になったことと捉えてよいと思います。

 

今日、私はその人の「秘密結社」の本拠地である街を、電車で通り過ぎました。街を覆うアストラルレベルは毛細血管が張り巡らされたようになっていて、まだその人が生きていることを感じさせました。

 

――まだ、この街にいるのね。

 

肉体の死=終わり、ではないのだなと私は感じました。その人はあとしばらく、あの街にとどまり、自らが成し遂げたかったことの次第を見届けるつもりなのでしょう。

 

その人には、その人が個人的に抱えるミッションがありました。それは周囲の人々とは直接的な関係がありません。しかし、その人が燃やし続ける焚火のような世界に触れる時、予測がつかない化学反応が起き、予測がつかない変化が起こり、その変化は世界に波及していきました。

 

その人はシャーマンのような存在だったのかもしれません。シャーマンとは、超自然的な存在と交信・交流する人を指しますが、「私はシャーマンです、超自然的なものと交流します」と言わなくてもそうしている人というのは、たくさんいます。

 

「死ぬまで続けようと思っている」とは、肉体が限界に達するまで日々の儀式を続けるのだ、という意味だったのか。そう気づいた瞬間、その人の霊的な力は圧倒的なパワーで、滝のようにあの街に降り注ぎ、遠く離れた私にまで降り注ぎ始めるような気がしました。

 

その霊的な力というのは具体的に何なのか、私にはわかりません。時に、霊的な力というのはそういうものだと思います。説明できない。肉体が生きている間は滑稽に感じられることもあり、肉体が死に近づいてからは不思議に感じられ始め、肉体が死んだ後は果てしなく大きな風穴をこの世に空けます。無限の自由、虚空。