英国女王エリザベス2世の国葬はおごそかで美しいものでした。地球上の生物で、宗教的な儀式をおこなうのは人間だけでしょう。では、動物や植物は知性の面で劣っているかというと、そうではないと言えるかもしれません。
動物も植物も、種の生命をパターンどおりに正確に展開しています。その意味では、ただ自然のとおりに生命活動をすることが儀式に匹敵する。というか、わざわざ儀式をする必要がないほどの神聖さがあります。
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さて、エリザベス女王国葬にまつわるハエトリグモ観察日記です。このブログではクモ全般を「クモ隊」、個々のクモを「隊員」と称します。クモ全般が苦手なかたは、閲覧をお控えくださいませ。
昨日の私はパワポのプレゼン作成+台風情報チェック+ぴょこたん隊員の餌の捕獲+ぴょこたん隊員の位置確認を同時進行でおこなう忙しさ。
夕方6時過ぎにぴょこたんは姿を現し、私が調達した餌も食べ、自分でも狩りをして食べることができました。また一歩前進です。
おなかがいっぱいになったのか、ぴょこたんは食事エリアを少し離れて、棚の仕切りの角に移動しました。その視線の先には、テレビ。いよいよ国葬が始まります。
ウエストミンスター寺院に運び入れられる、女王の棺。ぴょこたんも動かず見ています。
寺院の中の、高い天井から見下ろすカメラの映像に驚きながら讃美歌やバグパイプ演奏などを聴くうちに、葬儀は終了。棺が寺院から運び出されると、ぴょこたんはゆっくりと、元の食事のエリアに戻りました。
――えっ?
――ぴょこたんは葬儀を見ていた?!
寺院内での儀式の間、ぴょこたんがテレビにお尻を向けなかったことに「なんて礼儀正しいんだ」と感心すると同時に、怖くなりました。たまたまタイミングが合っただけと笑い飛ばすこともできますが、もし、仮に、そうでなかったら……
これまでにも、リボンの輪っかの中で一泊おとまりしたり、地震の前にコンロの火の周囲で暴れていたり、youtubeの歌に反応したり、なんかもう「ただランダムに這い回っているだけの虫(正確には、彼らは虫ではありません。節足動物です)」とは思えなくなってきました。
――何者なんだ。ぴょこたんは。
彼女はいったい何を、どこまで知覚しているのでしょう? 私は畏怖を感じています。畏怖とは、何か偉大なる未知のものとのコンタクト。私のエネルギーフィールドに深いインパクトを与えます。