テレビが地上デジタル放送に完全移行したのは2011年でした。それから13年。
そんなことをふと考えるのも、最近、感性がのっぺりしてきているというか、つるんとしたきれいなものばかりに囲まれている気がするというかで、アナログ放送の時代が妙に魅力的に思えてきたからです。当時は不思議なもの、不可解なもの、怖いもの、激しいものがあった気がするし、それらに自分も反応していたと思います。
オカルトの世界ももっと怖かった。見てはいけないものを見るような感覚がありました。それはぞくぞくするような、とても魅力的なものでした。
今夜の東京は寒く、外は強い風が吹き荒れています。窓の方に顔を向け、その音をしばし聞いていると、ひよこ隊が語りかけてきました。
「おもいだせ」
「きみは なにも うしなってはいない」
ああ、そうでした。ただ自分のリアルに立ち返るだけでよいのでした。
