ブドウの皮の山の中から何かをくわえて出てきたぴょこたん隊員は、その後も再び、何かを発見して飛びかかっていました。
――まさか……
私は恐れおののきました。積み重なったブドウの皮の下で、変な微生物が大量に発生しているのでは? 「ぴょこたん、どうしよう?!」と思いながら見ると、ぴょこたんは「大丈夫、私が全部獲ってあげるから!」と言っているように見えました。
ここで、私はある言葉を思い出しました。何度意味を確認しても、自分では使いこなせない言葉の一つです。私は通訳の仕事をしているくせに、そうした言語表現が日本語にも英語にも、確実に存在するのでした。
その言葉とは「マッチポンプ」。
今、書いていても、違和感を感じます。どういう意味か調べると「自らマッチで火をつけておいて、それを自らポンプで水を掛けて消すと言う意味で 偽善的な自作自演の手法・行為を意味する和製外来語である」とウィキペディアに書かれています。
――和製外来語かい!
どうりで、変なわけです。せめて「放火魔と消火器セールスマン」とかならわかるけど。
要は、私が「自らマッチで火をつけて(=自らブドウの皮を放置して、微生物の発生をお膳立てする)」おののくことが、マッチポンプになるのかどうか、という疑問です。「ポンプで水をかけて火を消す(=たくさん発生したかもしれない微生物を駆逐する)」のは私ではなくぴょこたんですから、マッチポンプにはならない。でも、どういうわけか昨日からずっと、この"マッチポンプ感"は消えず、モヤモヤしました。
「自ら墓穴を掘る」ともちょっと違う。「身から出た錆」これもちょっと違う。何なんだ、何なんだこれは。
ひよこ隊が助け舟を出してくれました。「いま きみは しぜんの だいなみっくな ちからを もくげきしている! せいぶつの ちからを まなべ!」あぁ確かに。