新しい自分の作り方

BHSバーバラブレナンヒーリングサイエンス認定プラクティショナー/シカ・マッケンジーのブログ

朝帰り

ガラス容器にバナナを仕掛け、餌となる極小の昆虫たちをキープして待つこと5日間。ついにクモ隊隊員(ハエトリグモ、メス)がやってきました。

 

 

隊員には透明なガラスが見えていません。容器の上を歩いて中を凝視し、そこから斜め上の場所に隠れて昆虫を狙っています。これでは「容器の口から侵入する」という発想にたどり着くまでに何日もかかるかもしれない。

 

私は「この前の自分にそっくりだ」と思いました。先日、初めて行ったパン屋さんで、透明の容器の中にパンが陳列されているのに戸惑ったのです。もちろん、これは店側の衛生面の配慮なのですが、何もかもが透明で、どこにフタの取っ手があってどう開けるかがわからない。手が出せないでいると、幸い他のお客さんが容器の扉をパコっと開けてパンを取り出しているのを目撃しました。なんのことはない単純な作りです。

 

 

――透明なものは見えにくいし、わかりづらい。イライラするし、危険だ。

 

 

クモ隊員の安全のことも考え、私はエサを仕掛けたガラス容器に白い紙を巻き付けることにしました。隊員の視点で見ると、これなら白い壁に囲まれた部屋に昆虫がたくさんたむろしているように見えるはずです。

 

驚いたのは、隊員が私の動きをも警戒しているふうだったことです。私が見ている間はあちらこちらに移動しながら隠れ、容器を遠巻きから眺めています。観察を中断してお風呂に入っている間に隊員は姿を消し、「えっ?諦めた?」と思って覗き込むと、見事に容器の中へと侵入していました。

 

 

――すごい! すごいぞクモ隊!

 

容器の中に入ってからも、隊員はすぐに餌に飛びつこうとせず、ゆっくりとタイミングを待っているようでした。餌と一緒に生活する気だろうか、というような悠長さです。

 

 

しかし、いつの間にか隊員は一匹、二匹と昆虫を食べているようでした。私は安心し、寝ました。

 

翌朝目を覚ますと、隊員は容器から出ようとしているところでした。やっぱり私の動きを察知しているに違いありません。ゆっくりと容器から出ると、ぴょん、ぴょんと跳びながら、いつもの隠れ場所へと帰っていきました。その動きはまるで、大宴会で飲み明かし、お店を出て始発の電車へと向かうおじさんのようです。