新しい自分の作り方

BHSバーバラブレナンヒーリングサイエンス認定プラクティショナー/シカ・マッケンジーのブログ

餌に追われる

クモ隊隊員(ハエトリグモ、メス)事件の続きです。隊員の食料となる昆虫の飼育に乗り出した私は、ハエトリグモが動くものにしか反応しないことを知り、愕然としました(前回の記事↓)

 

shikamac.hatenablog.com

マシュマロ班の容器を狙い続ける隊員。その執念を感じた私は焦りました。なにしろ、隊員はその日の昼頃から狩猟作戦を開始していたのです。

 

 

――マシュマロ班の蓋を開放しなくては。

 

 

私はそっと保温バッグの中に手を差し入れ、ガラス容器の蓋を開けました。隊員はさっと脇に飛びのきましたが、まだバッグの中にいます。そのままの状態で、私が餌を一匹取り出せば、バッグの中で安全に捕食できるに違いない。

 

 

――待っててね隊員。今、出すから。食べ物を。

 

 

容器を軽くゆすると、マシュマロの周囲を歩き回っている虫が一匹、転がり出てきました。

 

 

――来た! 

 

 

餌となる虫に気をとられていた、その瞬間。クモ隊は異変を察知して、保温バッグの外へ飛び出しました。まあ、いい。外でも虫を捕らえることはできる。

 

 

ぽとっ。

 

 

ゴマ粒よりも小さい虫を床に落とします。しかし! 私の動きに危険を感じた隊員は、いつもの陣地とは反対方向へ走り出しました。

 

――待って! 待ってクモ隊!

 

 

「くもたい! くもたい!」と呼びかけますが、そんなものが通じるわけがありません。犬や猫とはわけが違います。全速力で走り出す隊員。なんと、それに続いて、餌の虫もトコトコトコ…と走り出しています。

 

 

――え、餌が! 隊員の後に続いて走っている!

 

 

なんという異様な光景。

 

 

私は人生の皮肉を感じたのでした。あれほど長時間粘って追い求めた獲物が、自分の方に向かって走ってきているのに、もはや隊員はそれどころではありません。

 

 

――こ、これは……防衛反応が勝るということか。生存のために食うか、守るか。

 

 

ごはんをガン無視して逃げる隊員は、身の危険を感じて100%防衛モードに入りました。人間ならば、これがトラウマになる可能性もあるでしょう。その点、動物は感情のエネルギー意識がきわめて単純なのが救いです。

 

 

――回復してくれ、クモ隊! 驚かせた私が悪かった! 以後、マシュマロ班の扱いは慎重にするから!

 

 

私は餌の虫の捕獲に気をとられて、隊員の姿を見失ってしまいました。たぶん、その日の夜は自分の陣地とは反対側の壁の隙間に隠れていたに違いありません。翌日の夜に、天井の梁を伝って帰ってきました。一安心です。

 

 

昨日はカーテンの上で張り込みをしている隊員が見えました。何を狙っているのか……気のせいかもしれませんが、かすかな緊張感を感じます。私も隊員の目線に少しずつ近づいているのかもしれません。こうして感覚を研ぎ澄ませていけたら、いいなと思います。バーバラ・ブレナン博士も幼い頃から「ヘビもカエルも、生き物はみんなお友達」だったそうですし。