通常の五感を超えた「超感覚的知覚」を使い、ヒーラーはセッションをおこないます。見えないものが見え、聞こえないものが聞こえるといえば超能力者のようですが、そうではありません。人間はみんな、鋭い感覚をもっています。
ですが、ヒーラーはそうした感覚を日頃から鍛えているはずの存在。オーラや前世、守護霊のようなガイドなどが見えるだろうと期待される面があります。
確かに、見えたり感じたりするものは、あります。でも、何でもかんでもストレートにお伝えするのは、癒しや人間関係にとって、必ずしも理想的とは限りません。
私はBBSH在学中、そのあたりの加減がよくわかっていませんでした。学生だからお代金を頂かない無料セッション、というのにはそのような事情があります。それでもよければ、ということでご協力者を募っていました。
★★★
ある女性が、その無料セッションにご協力くださった時のこと。他の皆さまと同じように、彼女にもヒーリング用のベッドに横たわって頂き、私はヒーリングを開始しました。
足の裏に手を当て、エネルギーの調整をしているうちに、なんとなくどんよりした流れのようなものを、彼女の身体の左側に感じました。
――ん? 人かな?
青緑っぽい淀みの中に、誰かが横たわっているみたいな感じです。どよーんとして重いけれども、攻撃的なとげとげしい波長ではありません。ただ彼女の横にいる。近づくでもなく、離れるでもなく。
――何者?
とても印象深かったので、私はヒーリング終了後に、そのことを女性に伝えました。すると彼女は気まずそうに、「やっぱり見えちゃいましたか……実は、私、」
彼女のエネルギーフィールドの中にある、どよーんとした重い存在。彼女によると、それは不倫相手の男性に違いない、お互いを利用するだけの関係のように思えて、もう別れたいと思っているのだけれど、ということでした。
――ああ。そう言われると、確かにそうかも。
でも、見ようとしていないのに見えてしまったものについて、私も気まずい思いをしたことは確かです。
ヒーリングセッションで大切なことは、クライアントの秘密を暴いて問題を指摘することではありません。本来の自分のあり方にそぐわない部分に光を当て、本来のあり方へと回帰するお手伝いをすることです。
BBSHでの学習が進み、その点をはっきりと理解できてからは、こうした気まずい問題はなくなりました。何かが見えたり、感じられたりした時に、それがその時に重要だと感じた場合は必ずお伝えしています。
それ以外のものについては、ご心配無用です。「なんだろう、これは?」というような、疑問形の状態で拝見しています。ヒーリングを受けて頂いて、何かが意識にのぼってきたら、どんなことでもお伝え下さい。それこそが宝、素晴らしい発見です。