新しい自分の作り方

BHSバーバラブレナンヒーリングサイエンス認定プラクティショナー/シカ・マッケンジーのブログ

絶対的にメスが強い世界

外出から戻ると、砂糖水を含ませたティッシュの近くにおにいちゃん隊員が佇んでいました。しばらく姿を見せなかったオスの隊員です。いやな予感がしました。

 

というのも、案の定、大きなメスの隊員がバスケットの上のところで待機していたからです。体の大きさは戦車と幼児用の三輪車ほど違うのに、デートをしようというのでしょうか? おにいちゃん隊員はわざとなのか、メスの隊員に背を向けて隙を見せています。

 

――これは、食べられてしまうかもしれない。

 

おにいちゃん隊員は、かつて私がキラ子と呼んで特にかわいがっていた隊員です。目の前で犠牲になるのは耐え難いことでした。

 

――いや、おにいちゃんは賢い隊員だ。きっと事なきをえる。

 

ぱさっ! 突如、大きなメス隊員が飛び降り、おにいちゃんに襲いかかりました。

 

――ああっ!

 

思わず声が出ましたが、隊員どうしのことに手出しはできません。あっという間にぴょんぴょんダッシュの追撃が始まり、おにいちゃんはあの砂糖水の下に敷いてあるビニールの隙間に逃げ込みました。

 

がさがさがさ!

 

砂糖水のティッシュと、ビニール袋に元から貼ってあるステッカーに隠れて、隊員たちの姿は見えません。どんなホラー映画やねんと、私はぞっとしました。

 

――おにいちゃん隊員のことは、あきらめよう。これもクモ隊のさだめなのだ。

 

ふと見ると、ビニール袋の折りたたんだ端っこのところに、黒い点。おにいちゃん隊員です。どうやら、狭い隙間に入り込んだ模様です。大きな隊員は先へ進むことができません。

 

おにいちゃん隊員の瞬時の判断に感心しましたが、クモ隊の忍耐力はすごいものがあります。大きなメス隊員はいつまでも粘りそうです。どうしよう。

 

意外にも、大きなメス隊員はあっさりとビニール袋から出てきました。いまだ、と思いビニール袋を脇へ移動させると、おにいちゃん隊員がダッシュで出てきました。

 

――生きていたんだ!

 

すかさず追うメス隊員。逃げるおにいちゃん。

 

見かねた私はガラス容器でメス隊員を捕獲し、砂糖水のところへ移動させました。ティッシュにかぶりつき、砂糖水をちゅーちゅーするメス隊員。かなりご満悦のようで、その後もまた飲みに来ました。

 

これではメス隊員の方ばかりパワーアップしてしまいます。おにいちゃん隊員が離れたところにいるのを見つけ、砂糖水のティッシュを差し出しました。おにいちゃんは驚きましたが、ティッシュに抱き着くような恰好で、しばらく砂糖水を飲み続けました。

 

――よし。強くなってくれ…。

 

満腹になったメスの隊員は昨夜と同じように、ビニール袋の隙間にもぐり込んでおやすみの体勢です。

 

オスのおにいちゃんは、また移動した後で戻ってくるのでしょう。絶対的にメスが強い世界で生きるオス、おにいちゃん。今年はまだ、デートには早いと思いますが、本人の意思にまかせるしかありません。とりあえず、別の場所に砂糖水スポットを一か所、増やしておきました。