秋はハエトリ観察シーズンですので、隊員日記が続きます。昨日は幼児オスのはやと隊員(かどうかは定かではありませんが、もう、はやとにしてしまいます)の危険な寝場所の問題が持ち上がりました。
朝、はやと隊員が外に出て活動していることを確認し、私はバスケットの蓋をきっちりと閉めておきました。これで、うっかり閉めてしまってはやとを圧死させる可能性がなくなるはずです。
昼から夕方、夜、と私たち生物の活動時間が過ぎていき、私は23時過ぎに寝る支度を始めました。はやとはまだ外にいます。照明を段階的に暗くしました。「あっ、そろそろ暗くなるぞ」と、はやとは認識し、早足で移動を始めました。
向かう先は、あろうことか、昨日と同じスポットです。今日もそこで寝ようと考えていたのでしょう。しかし蓋はぴっちりと閉じてあります。はやとは「あれ? おかしいな」とでもいうように、何度もそのスポットを行ったり来たりしています。
――蓋をこじ開けるつもりなのか?
もちろん、そんなことは無理です。昨日の寝場所が封鎖されているためにパニックに陥ったはやとは、焦って違う場所を探し始めました。そういうことは、早めに段取りをしておくべきです。他の隊員は、あらかじめ寝床を作っておいてから、その近くで夜の最終の活動をし、消灯と同時にさっと寝床に入るのに(はやとも一昨日はそうしていましたが)。
今日は昨日と同じ宿でオッケー、とのんきに構えていたのでしょうか。雑な隊員です。
かなり迷った挙句、はやとは蓋と本体が合わさるところの、わずかな隙間をたどり始めました。密閉容器のたぐいとは異なり、天然素材で編まれたバスケットは、きちんと蓋を閉じた状態でも遊びの部分があります。
その遊びの部分の、わずかな隙間の中でも、自分の身体がちょうど収まるスペースを探り当て、本日はそこで就寝となりました。