翌朝。クモ隊の少年隊員を探すと、昨日と同じエリアをささやかに徘徊しているのを見つけました。幼いうちは移動エリアが狭いのかもしれません。それにしても、たった一晩でずいぶん大きくなったものです。見ているうちにも、体が少しずつ大きくなっている? そんなばかな。
――あっ!
オスの特徴である白いラインがありません。虫眼鏡で確認すると、確かに昨日見かけた少年隊員とは違い、体が茶色っぽく、ぼってりしています。メスだ。少女隊員。
少女隊員もまだ幼いようで、脚が細くて短く、遠目から見るとハエトリグモだとはわかりません。ボディの部分だけが目立ち、プロポーションとしては未完成です。人間でいえば、中学生。特に中1、中2の頃は制服を着てもなんだか借り物みたいで、早く大人になりたいと思ったものです。
と、この記事を書いている短い隙に、少女隊員は家具の隙間に隠れてしまいました。堂々と表に出て狩りができるようになるまで、あと少しかかるのかもしれません。