ヒーリングエネルギーを送っても"入っていかない"時があります。それは、受ける側のクライアントにその準備が整っていない時。あるいは、ヒーリングを求めているのに、無意識のうちに拒絶している場合。だから、その時に受け取れる分しか受け取れません。ですから、焦らず――と言うのは簡単。ヒーラーもクライアントも、強靭な忍耐力が必要です。
さて、前回の続きです。私は師匠からのヒーリングを受ける気まんまんで、横たわりました。左の腎臓の炎症の余波がまだオーラ層に残っている、と説明をして。
ヒーリングが始まると、すぐにひよこ隊の姿が見えました。ところが、様子がおかしい。隊員は一羽しかおらず、私の頭上の右側に漂い、完全にそっぽを向いています。
その首の捻り方は異様でした。それはまるで、異次元に浮かぶ不機嫌なオカリナか、防波堤の役目を放棄したテトラポットのよう。ヒーリングにまったく無関心です。聞こえてきた言葉に私は驚愕しました。なぜなら、その声は、
「Ridiculous! (ばかばかしい!)」
と言っていたからです。
――何かばかばかしいの? このヒーリングが? 私の状態が?
尋ねてみても、「リディキュラーース! リディキュラーーース!」という声が返ってくるばかり。隊員の首は、あらぬ方向に捻られたままです。
隊員に気をとられている私のエネルギーフィールドは、きっと師匠にバレバレでしょう。師匠はおそらく、「なんでエネルギーが入らんのかな」と思っているはずです。
――リディキュラス……ばかばかしい……
私は自分の左半身が抱えている問題を、ばかばかしいと思い始めました。だいたい、私は一生懸命に仕事に取り組み、成果を上げてきたはずです。瓶に入った飲料が嫌いだから水を飲みたくなかったとか、グジグジと言い訳をしている自分はいったい何なんだ。自分が訴えていた内容が、とても自分のものとは思えなくなってきました。
――そうよ。私には、もっと大きな使命があるわ。こんなことをしている場合ではない!
自分の尊大なエゴがふくらんでいます。これでは傷を癒すどころではありません。まずいな、と思いながら、ひよこ隊の仕打ちに疑問を感じました。そっぽを向いた隊員の姿は、ヒーリングを拒否する私自身を投影した想念体なのでしょうか?
ヒーリングが終わり、私は正直に師匠に報告しました。へそ曲がりの私に慣れているのか、呆れているのか、師匠は「まあ、炎症の名残りは取り払っておいたので、あとは仕事、頑張って」と言いました。
左半身のかすかな違和感が取れ、私は眠りにつきました。それにしても、ヒーリングが始まった途端に「ばかばかしい」とは、ひどい問題発言です。ひよこ隊はガイドではないのかもしれない、と不安になりました。
翌朝、目が覚めて、私はまた驚きました。隊員は、まだ頭上の右側に浮いていたのです。しかも、それは、前の晩とは違う……さらに不可解な姿でした。
続きます。