続きです。
かかりつけの医院が設ける「発熱外来」は予約制で、正午から14時の間。私は電話で予約をとりました。
発熱患者用の部屋は完全に分けられています。フェイスガードや手袋で完全防備した看護師さんに案内されると、室内はさらに、段ボール製の小部屋が二つ置かれていました。中に入ると、ちゃんと机も段ボールでできています。
その机の強度を少し気にしながら、私は問診票に記入しました。せきや喉の痛みは無し。ただ、熱:39度と記入したところが目立っています。
医師の先生はそれを見るなり、まるでF1のレースカーの速度に感嘆するかのような言い方で「出すねぇ~」と言いました。「これだけ熱があればPCR、保険で受けられるよ? どうですか?」。
私は即座に断りました。話がコロナの方に振れる分だけ、腎盂腎炎の処置が遅れてしまいます。私は自宅で用意したメモを出し、先生に訴えました。味覚異常もないこと、接触感染の可能性もきわめて低いこと。そして、2014年の夏にも、同様の高熱を出し、同じこのクリニックで腎盂腎炎の診断と治療を受けたこと。
「それなら、ちょっと背中を叩いてみようか」
叩いて刺激を与え、痛みがあれば、その部分の内臓が炎症を起こしていると推測できます。果たして、どれぐらい痛いのか? 熱でフラフラの私には、到底予測もつきませんでした。グデグデになりながら身体の向きを変え、段ボール部屋の中から背中を見せる私。
まずは右から。トントントントン!
痛み、無し。
次は左。トントントントン!
「ひょえええええええ~~~~~ん!」
脊椎の左側、ピンポイントで、痛みが走る箇所がありました。
「あ、これ腎臓だわ。すぐハルン(尿)採って」
私は段ボール部屋から解放され、すぐに一般の診察室エリアに移動するように言われました。
続きます。