私だけに見えるビジョンだと思っていましたが、多くの方に見えているかもしれません。武器庫には女神がいるのです。
暗い色の、硬い金属でできた銃や弾薬をしまう倉庫の天井の下に、女神はいます。
人間の形をしているわけではありません。空に広がる雲のような、風のような、星雲のような存在です。その下はあまりに静かであるため、美しい音楽のような響きを感じます。
国を守り、愛する人を守るための武器は、翻ってどこかの国を攻撃し、誰かの愛する人をあやめることになる。この矛盾はなくならない。
ぎりぎりのところに、女神がいます。
空を覆うようにして守っています。人間に武器を使わせないように。
不思議なものをいろいろ見ますが、武器庫の女神はこれまでで最も崇高なエネルギーを感じた存在です。
今日は終戦記念日です。
平和を祈る声が響く今も、地球上のどこかで紛争が起きているけれど――使われずにただ置かれているだけの武器もまた、おびただしい数が存在します。
それらが使われないでいることに思いをはせる時、女神の美しい音楽が聞こえてくるような気がします。